不動産投資で得た家賃収入にかかる税金と計算方法

安定した収入が魅力の不動産投資ですが収入が増える以上税金もかかってきます。不動産で得た利益に対する所得も不動産所得として所得税法で決められており正しく納税しなくてはなりません。今回は不動産投資で得た家賃収入にかかる税金とその計算方法についてご説明していきます。

所得税法に基づく不動産所得の範囲

国税庁によると所得税法では所得を10種類に区分しています。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm

  1. 利子所得:預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得
  2. 配当所得:株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
  3. 不動産所得:土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得
  4. 事業所得:農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得※ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得となる
  5. 給与所得:勤務先から受ける給料、賞与などの所得
  6. 退職所得:退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得
  7. 山林所得:山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得※山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得となる
  8. 譲渡所得:土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得。※事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない
  9. 一時所得:上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金など営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます
  10. 雑所得:公的年金等上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得をいいます

不動産投資による所得は『3.不動産所得』になり、不動産所得をさらに詳しく見ると『土地や建物などの不動産の貸付け』『地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け』『船舶や航空機の貸付け』であるとされます。

不動産所得で毎年かかる税金の種類とその計算方法

不動産投資に関して毎年かかる税金は、固定資産税・所得税(不動産所得)・住民税です※取得時にはその他にもあります

固定資産税は不動産を有しているだけで発生する税金なのでそれによる収入は考慮されません。所得税・住民税が不動産所得の額によって変わるものです。不動産所得の計算方法は以下の式です。

不動産所得=総収入金額-必要経費

総収入金額:家賃、礼金、更新料、管理費、駐車場料、自動販売機による収入、アンテナ基地設置料金など不動産投資で得たすべての所得が含まれます。敷金・保証金は債務不履行がない場合返還されるため収入としませんが、返還しない場合は収入として含めなくてはなりません。また、これらの費用が未収であったとしても書類上は計上しなくてはなりません。もちろん入金されたときは追加で計上する必要はありません。

必要経費:不動産収入を得るために必要な費用のうち、家事上の経費と明確に区別できるものとされています。固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費のほか不動産会社に支払う管理委託費や広告費、銀行など金融機関に支払うローンの金利がこれに含まれます。

所得税

累進課税とされ所得が多いほど税率が上がります。

  1. 195万円以下の場合税率は5%、控除額は0円
  2. 195万円以上~330万円以下の場合税率は10%、控除額は9.75万円
  3. 330万円以上~695万円以下の場合税率は20%、控除額は42.75万円
  4. 695万円以上~900万円以下の場合税率は23%、控除額は63.6万円
  5. 900万円以上~800万円以下の場合税率は33%、控除額は153.6万円
  6. 1,800万円以上~4,000万円以下の場合税率は40%、控除額は279.6万円
  7. 4,000万円以上の場合税率は45%、控除額は479.6万円

計算式としては不動産所得が600万円の場合、
不動産所得600万円×税率20%-控除額42.75万円=77.25万円
になります。金額としては正しいのですが以下の計算式が正しく、簡単に計算ができるよう控除額が設定されています。

『所得税は課税所得金額×税率ではない』ことにより計算がやや複雑です。上記例のように不動産所得が600万円だとすると税率20%のため『600万円×20%』の120万円が所得税になりそうですが正しくは以下の計算となり、
①195万円×5%+②(330万円-195万円)×10%+③(600万円-330万円)×20%

9.75万円+13.5万円+54万円=77.25万円が所得税の金額になります。
※不動産を購入した初年度は各種税金や減価償却をマイナス分として計算することで大幅に節税することができる場合もあります。

所得税の控除については複数あり、基礎控除38万円、サラリーマンの場合の給与所得控除、社会保険控除、配偶者控除38万円、扶養控除38~63万円、青色申告控除10~65万円、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除が一般的でほかに雑損控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除などがあります。

住民税

基本的に所得金額の10%ですので600万円の場合60万円となります。

固定資産税

3年に一度、土地の評価額(土地の面積(地積)×路線価=土地の評価額)や、家屋の時価額(評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率)をもとに東京都と各市町村が算定しています。

計算式:課税標準額×標準税率(1.4%)=固定資産税

不動産投資を事業所得とすることによる節税効果

家賃収入が「独立した部屋の数がおよそ10室以上」または「独立した家屋がおよそ5棟以上」から得られる場合、不動産を事業として行っているとみなされ不動産所得ではなく事業所得とすることができ、申告できる経費の幅が広がります。青色申告特別控除が利用できること、自宅を事務所として電気代、家賃の一部を経費にできること、親族を従業員としてその給料を経費にできること、損失が出た場合3年間繰り越せること、貸倒引当金を設定できること、30万円以内なら資産を経費に計上できること、が主なメリットです。また、個人事業主の場合課税金額が290万円を超えると個人事業税(家賃収入の場合5%)が生じます。

不動産投資による所得を申告する時期と用意するもの

毎年2月16日~3月15日までに税務署で行う、または信書扱いで郵送でも可能ですので期間内に申告しましょう。

月曜日から金曜日8時30分〜17時が税務署の開庁時間ですが、確定申告期間内に限り一部の日曜日に開庁して、相談・申告書受付を受け付けている場合もあります。

また、不動産投資を始める際に税務署へ開業届を提出しておくと毎年確定申告時に必要な書類一式が送られてくるため便利です。

申告の際に用意するものは家賃に関する書類(通帳、賃貸契約書)、必要経費の証明書(管理費、修繕積立金、保険、所得税・登録免許税・固定資産税など各種税金、印紙の領収書、ローン返済表など)、不動産売買契約書、源泉徴収票、不動産収支内訳書、青色申告決算書、確定申告書Bなどです。税理士に依頼する場合5~10万円ほどが相場なので一人で書類作成が難しい場合は力を借りることで安心して申告作業ができます。

まとめ

不動産投資を行う際に申告しなくてはならないもの、税金が多数あることをご紹介いたしました。正しい知識をもって期間内に納税をしていくことはトラブルのない不動産運用の基本ですが、その仕組みの中で節税になるポイントもあるためうまく利用して利益を増やしていくことが大切です。

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