駅徒歩はただの数字?駅徒歩15分以上の物件で入居を付けるポイント

不動産投資において、物件選びの指標のひとつとされる「駅からの徒歩分数」。中でも「徒歩15分以上」となると、なんとなく“遠い”“不便”という印象を持たれがちかもしれません。

でも、実はそんな物件にも十分な魅力があり、上手に運用することで安定した入居を実現している例も多くあります。

今回のコラムでは、

・駅から遠い物件ならではのメリット・デメリット
・駅徒歩表記が“実際”と一致しない理由
・運用時に気をつけたいポイント

そして実際の成功事例…といった内容を、首都圏の物件事情を踏まえながらお伝えしていきます。

1. 駅から遠い物件のメリット・デメリット

メリット

  • 家賃を抑えられるぶん、検討対象になる層が広がる
    駅近物件よりも賃料が抑えられる分、「家賃重視」で探す単身者・学生・若年カップルなどには選ばれやすい傾向があります。駅近物件と比べて、同じ家賃でも部屋が広かったり、築浅だったりと“お得感”を出しやすいのも魅力です【注1】。
  • 閑静な住環境が手に入りやすい
    繁華街や線路から少し離れることができれば、静かな生活環境が得られやすいのもポイント。とくに在宅勤務や子育て家庭など、落ち着いた暮らしを望む層には好印象です【注2】。
  • 健康志向や運動習慣がある人には好まれることも
    「歩くのが好き」「運動不足を解消したい」といった人にとっては、毎日15分歩くというのも意外とメリットになり得ます。特に最近は、ライフスタイルの多様化により駅からの距離を気にしない方も増えてきています【注3】。

デメリット

  • 天候によってストレスを感じやすい
    雨・雪・猛暑などの悪天候下では、15分の徒歩は体感としてより大きな負担になります。また、毎日の通勤や買い物が億劫になりやすく、住み替えの原因になることもあります。
  • 夜道や防犯面の不安が増すことも
    駅から離れることで街灯が少なかったり、人通りが減ったりするエリアもあります。女性の一人暮らしや小さなお子さんがいる家庭にとっては、「安全かどうか」は非常に重要な判断材料です【注1】。
  • 幹線道路や高架沿いでは“騒音”が懸念されることも
    駅からの距離があるからこそ、途中のルートが問題になることも。たとえば東京近郊では、大型商業施設が近くにあるエリアほど幹線道路も多く、歩道橋や地下道を渡る必要があったり、信号が多く実際の移動時間がかさむケースもあります。見た目の距離以上に“遠く感じる”大きな要因です【注4】。

2. 駅徒歩分数の表記と「体感」のズレ

不動産広告では、徒歩分数は「80メートル=1分」で計算することが決まっています【注5】。そのため信号や坂道、階段、横断歩道といった“距離関係なく時間を要するもの”は考慮されていません。

とくに東京近郊では、以下のようなケースで「数字と実際の所要時間が合わない」ことがよくあります。

  • 歩道橋や地下通路の上り下りがある
  • 商業施設を挟んだルートでう回を強いられる
  • 人通りが多く歩行ペースが落ちる道

このように、「徒歩15分」と書いてあっても、実際に歩いてみると20分以上かかる感覚になることも珍しくありません。

3. 駅から遠い物件を運用する際のポイント

駅徒歩15分以上の物件で入居者の心をつかむには、ただ「距離があるけど安いです」と伝えるだけでは不十分です。物件や周辺の魅力を“想像しやすく”“納得してもらえる形で”伝えることが大切です。

■ 実際のルートを可視化して伝える

「徒歩15分」と聞くと“遠い”という印象を持たれがちですが、ルートによっては意外と近く感じる場合もあります。信号が少ない道や歩道が整備された通り、明るくて人通りの多い道を通るなら、体感的には10分程度に感じることも。

そういった実際のルートを写真や動画で紹介しておくと、心理的な不安やネガティブな印象を和らげることができます。

■ 自転車・バスなど、徒歩以外の交通手段も紹介する

徒歩だけにとらわれず、駅まで自転車で何分か・最寄りのバス停の位置・バスの運行本数などを併せて紹介すると、物件の“アクセス力”を広く伝えることができます。特に首都圏では、自転車通勤・バス通勤が一般的な地域も多く、これらの情報が入居の決め手になることもあります。

■ 生活施設の充実度を補足する

駅からは離れていても、「スーパーが徒歩3分」「小学校がすぐそば」「ドラッグストアが2軒ある」など、日々の生活に便利な施設がそろっていれば十分に魅力的です。地元の方しか知らないような“穴場的”な施設や、公園・カフェなどの暮らしの質を高める情報も有効です。

■ 夜道や安全面の配慮を説明する

夜間でも安心して歩けるルートがあるかどうか、街灯の数や明るさ、防犯カメラの設置、交番までの距離など、具体的な情報を示すことで、特に女性やファミリー層の安心感につながります。

■ 物件そのものの設備や間取りも魅力的に伝える

駅から少し離れている分、同じ家賃帯でより広い部屋や高機能設備を提供しやすいのがメリットです。たとえば、2口コンロ・浴室乾燥機・ウォークインクローゼットなどを備えていれば、「この距離でも住みたい」と思ってもらえる可能性が高まります。室内の快適性が物件の強みになります。

4. 事例:ターゲットを絞って満室経営

駅徒歩15分の物件を運用する上で、興味深い事例を紹介させていただきます。東京都葛飾区・金町駅から徒歩15分という立地にある「Maison Neko」というアパートは、“猫と暮らす人専用”という明確なコンセプトを打ち出し、全室満室という実績を挙げています【注6】。

この物件では、

・猫仕様のステップやくぐり穴を室内に設置
・多頭飼いも見据えた間取りと広さ
・入居条件にも「猫好き限定」を明記

といった工夫がなされており、駅からの距離を十分にカバーする魅力で差別化に成功しました。誰に向けて、どんな暮らしを届けるのかが明確であれば、駅距離は決定的な弱点にはならない好例です。

おわりに

駅からの距離は、たしかにひとつの判断材料ではありますが、それが「遠いからダメ」という結論に直結する時代ではなくなってきました。

むしろ、入居者のライフスタイルや価値観が多様化している今だからこそ、その物件でどんな暮らしが叶うのかを丁寧に伝えることが、賃貸経営の鍵になると感じています。

徒歩15分という“数字”の先にあるリアルな生活を想像してもらえるような工夫をすることで、入居者の心を動かすことができるはずです。

また、傾向として、駅徒歩の分数が増すほど物件の利回りも高くなっていきます。多少駅から遠くとも、ご紹介したように適切な運営ができれば満室経営も十分に可能です。弊社でも、1都3県に絞って高利回りの物件を数多くご紹介しておりますので、ご興味があればぜひご覧くださいませ!


参考文献

【注1】「家賃は下がるけど……駅から遠い物件を選ぶときの注意点」|ウチコミ!タイムズ
https://uchicomi.com/uchicomi-times/category/rent/roomsearch/15172/

【注2】「駅から遠い物件に住むときのメリット・デメリット」|LIFULL HOME’S
https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00519/

【注3】「駅徒歩15分の物件、住み心地は?」|LIFULL HOME’S
https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00522/

【注4】「駅徒歩は本当に重要か? 駅徒歩“15分”の物件に住んでみた」|楽待(不動産投資新聞)
https://www.rakumachi.jp/news/practical/316072

【注5】「駅から徒歩何分までが暮らしやすい?目安となるのは徒歩15分」|神奈川県住宅供給公社
https://www.kousha-chintai.com/blog/knowledge/station-walk-how-minutes.php

【注6】「駅徒歩15分エリアでも“人気物件”にできるか検証 猫と暮らす人専用のアパートで満室経営!」|楽待(不動産投資新聞)
https://www.rakumachi.jp/news/column/207196


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